2017.08.03 【寄席 オン・ザ・ルーフ】イベントレポート

「ON THE ROOF」では8月3日に落語会「寄席オン・ザ・ルーフ」を開催しました。

会場は1階部分のイベントスペース。

こちらに高座と客席を特設することで、一日限りの寄席が出現。

今回が本スペースのお披露目、こけら落とし公演となります。

出演は、平成の落語ブームの立役者として知られる若手ユニット「成金」から柳亭小痴楽さん、瀧川鯉八さん、そして講談師の神田松之丞さん。只今売り出し中のお三方とあって、前売分は完売、当日券として補助席を用意するほどの盛況となりました。

午後6時30分、開場を知らせる一番太鼓が鳴らされます。続いて流れる寄席囃子はON THE ROOFの前の通りにも聞こえてきて、夕立ちの後の涼しい風とあいまってなんとも良い雰囲気に。

そして7時、いよいよ開演です。

開口一番は柳亭小痴楽さんで「湯屋番」。

風呂屋の舞台に上がった道楽者の若旦那のあれやこれやの妄想をカラッと明るく語ります。途中、客席の赤ちゃんから上がった声もすかさず拾ってアドリブで返す一面も。ハプニングも笑いにしてしまうライブ感は生の話芸ならでは、ですね。

続いての登場は神田松之丞さん。

松之丞さんのひいおじいさんは日本で最初にトルストイ全集を刊行した唐津出身の翻訳家・古舘清太郎。ということで古舘家に伝わるというおよそ100年前の上京のエピソードをマクラとして披露。なんでも唐津で知り合った曽祖父夫妻は、駆け落ち同然で列車に飛び乗って東京まで行ったのだとか。
そして本編は鍋島家と龍造寺家にまつわる因縁に化け猫を絡めた怪談話「鍋島猫騒動 」。
化け猫の声色や生き血を舐める不気味な描写に会場は凍てついた空気に。
そこから終盤の化け猫退治のくだり、大立ち回りの場面を活劇調に盛り上げて、1時間近くたっぷりと豪快に語りきりました。

仲入り挟んで後半の始まりも松之丞さんから。

先程の怪談話とはうって変わって人情話「谷風の情け相撲」。
伝説の名横綱・谷風梶之助の心温まる逸話を賑々しく語ります。
「鍋島の猫騒動」に時間をかけすぎたので‥と、ぎゅっと面白みを凝縮したスピーディな語り口でトリに繋げます。

そして本日のトリは瀧川鯉八さん。

自身の創作落語の中でも名作と評判高い「長崎」で勝負をかけます。
鯉八さん独特のユーモラスな口調で語られるロードムービーのような噺には随所に長崎の観光名所の描写が散りばめられていて、実際に長崎を旅しているかのような気持ちになった人も多いのではないでしょうか。

鯉八さんの高座が終わると時計は9時30分。
お三方の古典落語、講談、創作落語に大笑いして、震えて、ほっこりして、三者三様の魅力が楽しめた一夜となりました。

ON THE ROOFではこれからも佐賀が「ハレの街」になるような魅力的な企画を発信していきます。

お楽しみに!

【寄席 オン・ザ・ルーフ】 平成29年8月3日 @ 佐賀・呉服元町 ON THE ROOFビルディング
一、湯屋番 柳亭小痴楽
一、鍋島猫騒動 神田松之丞
お仲入り
一、谷風の情け相撲 神田松之丞
一、長崎 瀧川鯉八

文:出口亮太(企画協力、長崎市チトセピアホール館長)
長崎市チトセピアホールhttp://www.chitosepiahall.com

2017.08.03 【寄席 オン・ザ・ルーフ】イベントレポート